column コラム

「耳鳴り」と「めまい」の後遺障害が認定された事例

2021/12/13

事故類型

1 四輪車vs四輪車
2 信号のない交差点、出合頭、一時停止無視
3 物損、人損
4 後遺障害(耳鳴り、めまい)


事案概要

見通しの良い信号のない交差点で、一時停止を無視した加害者車両が交差点に飛び出し、優先道路を直進していた被害者車両の左側面に衝突した、出合頭事故です。

事故により、物損のほか、依頼者(60代、女性)には、「むちうち」症?と思われる様々な症状が発生しました。

事故から約6か月で、通院が終了し、その後、加害者側保険会社から、示談案が届きました。

依頼者は、後遺障害の等級認定は、受けておらず、同社から届いた示談案にも、後遺障害の点については、何も記載がありませんでした。


解決方法

依頼者から聞き取った症状は、一見、交通事故でよく見られる、「むちうち」症のようでした。

しかも、相談時(事故から約7か月後)には、こうした症状の多くは、改善していました。

わずかに残る症状も、年齢によるものと考えても、不自然なものではありませんでした。

しかし、念のため、加害者側保険会社と、金額について示談交渉する前に、本当に、今回の案件が、後遺障害がないと考えて、示談交渉を行っても良い案件なのか、その点を確かめるため、同社より、依頼者の医療記録をすべて取り付け、記載内容を確認することにしました。

すると、通院の前半期の診断書に、「眼振を伴うめまい」ありと書かれている診断書が、見つかりました。

「眼振」とは、眼球振盪(がんきゅうしんとう)の略語で、自分の意思とは関係なく眼球が動いてしまう現象です。

眼振があったとなると、事故によって、首より上の部分(耳、脳など)に、傷害が生じていた可能性があります。

また、今残る症状も、その頭部に生じた傷害の、後遺障害である可能性があります。

そこで、依頼者に、事情を説明し、耳鼻科で、精密検査を受けてもらい、耳鼻科に、後遺障害診断書も作成してもらいました。


結果

耳鼻科での検査結果と後遺障害診断書等を提出したところ、「耳鳴り」と「めまい」の2つについて、後遺障害の存在が認定されました。

後遺障害等級は、前者は12級、後者は14級でした。

その後、加害者側保険会社と示談交渉を行ったところ、先に提示されていた示談案の約7倍の金額で、示談が成立しました(当初約100万円→約700万円)。


弁護士より一言

人身事故では、金額について示談交渉する前に、医療記録を確認することが大切です。

また、それ以上に、適切な診療科で、適切な検査と治療を受けることが、大切です!(できれば初期から。後から後遺障害の存在がわかった、と言って喜ぶより、後遺障害が残らないように、初期から、適切な診療科で、適切な診断と治療を受けられれば、それがベストです。)

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