column コラム

通院1か月で治療費の支払いが打ち切られたため、「被害者請求」で対応した事例

2022/01/19

事故類型

1 四輪車vs四輪車
2 道路直進車vs路外車、出合頭
3 物損、人損
4 治療費打ち切り、被害者請求


事案概要

道路直進車の左側面に、道路沿いの店舗駐車場から出てきた四輪車の前部が衝突した、出合頭事故です。

依頼者(20代、男性)は、事故時、道路直進車の助手席に乗っていました。

依頼者は、「むち打ち」症により、整形外科に通院しました。

ところが、通院を始めて1か月で、加害者側の共済(任意保険社)が、依頼者に、治療費の支払い打ち切りを通告してきました。


解決方法

依頼者は、打ち切り後も通院を続け、事故から約3か月後、「むち打ち」症の症状は、ほぼ消失し、通院は終了しました。

そこで、通院終了後、通院の全期間分の診断書、診療報酬明細書等を通院先等から取り付け、それらを加害者側の共済(任意保険社)にではなく、加害者側の自賠責保険社に提出しました。

このように、被害者が、加害者側の任意保険社を通さず、直接、自賠責保険社に対し、診断書等を提出し、同社に対し治療費等の支払いを請求する手続きを「被害者請求」(自賠責法16条1項)と言います。


結果

被害者請求では、3か月間の通院と、事故との間の因果関係の存在が認められ、3か月分の全治療費、全交通費、それに、自賠責基準で計算した慰謝料の支払いを受けることができました。

しかし、自賠責基準で計算した慰謝料は、弁護士基準で計算した慰謝料よりも金額が低くなります。

本件では、過失相殺の点を考慮しても、弁護士基準による計算の方が、金額が大きくなる事案であったため、被害者請求手続き終了後、差額分の支払いを求め、再度、共済と交渉を行いました。

先に1か月で支払いを打ち切っていた共済も、今度は、自賠責保険社が3か月間の因果関係を認定していたことから、判断を変更し、3か月間分の賠償に応じました。

交渉により、共済から差額分の支払いを受けることができたため、訴訟を提起することなく、事件は、示談により終了しました。


弁護士より一言

加害者側の任意保険社は、通院1か月、3か月、6か月など、切りの良い月数で、治療費の支払いの打ち切りを通告してくることがあります。

通告を受けたら(より望ましくは、通告を受ける前に、少しでもその気配を感じたら)、弁護士に相談をしましょう。

弁護士費用特約の加入があると、早めの時期から、相談費用を気にせずに相談ができるので、安心です。

 

 

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