column コラム

無保険車事故で、「政府保障事業」制度を利用した事例

2022/12/12

事故類型

1 四輪車vs自転車
2 信号のない交差点、出合頭
3 人損、物損
4 無保険車、政府保障事業


事案概要

信号のない交差点を直進する自転車(依頼者)の側面に、同交差点を右折しようとした四輪車の前面が衝突した、出合頭事故です。衝突により、自転車は転倒し、依頼者は、脚を骨折しました。

困ったことに、四輪車は、任意保険に加入しておらず、自賠責保険も切れており、無保険車でした。加害者には、資力もありませんでした。また、依頼者側にも、使える人身傷害保険は、ありませんでした。


解決方法

交通事故の多くは、保険(任意保険、自賠責保険、人身傷害保険など)対応により、解決がされていますが、事故の中には、まれに、①ひき逃げなどで、加害者(車両)が不明、②加害者(車両)が無保険、③加害車両が盗難車、という、自賠責保険が使えない類型の事故もあります。そのような場合には、「政府保障事業」制度(自賠責法71条以下)が使えます。

同法72条の規定は、以下のとおりです。

「政府は、自動車の運行によつて生命又は身体を害された者がある場合において、その自動車の保有者が明らかでないため被害者が第三条の規定による損害賠償の請求をすることができないときは、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。責任保険の被保険者及び責任共済の被共済者以外の者が、第三条の規定によつて損害賠償の責に任ずる場合(その責任が第十条に規定する自動車の運行によつて生ずる場合を除く。)も、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。」

第1文が、ひき逃げ事故、第2文が、無保険車事故及び盗難車運転事故の場合の条文です。


結果

自賠責法71条以下の手続きにより、政府保障事業の請求をしたところ、「政令で定める金額の限度」ですが、政府より、損害賠償金を受け取ることができました。


弁護士より一言

政府保障事業の内容や手続きの詳細については、保険会社又は弁護士にご相談下さい。
なお、政府が、加害者に代わり、一時的に損害賠償金を支払い、後日、政府が、加害者に対し、取り立てを行う事業としては、他にも、一定の重大犯罪(故意によるものに限り、過失によるものを除く)の被害者に対する「犯罪被害者等給付金」制度があります。
(犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律)

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