中途解約の場合の処理

Q. そもそも、依頼した後で、解約ができるのですか?

A. はい、できます。

 

 弁護士と依頼者との関係は、信頼関係に基づく、委任契約(民法634条)です。委任契約は、その性質上、

・委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。 (民法651条1項)
・当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。(同条2項)

とされている契約です。

 条文(民法651条1項)とおりであり、いつでも解約できます。

Q. 解除事由に制限はありますか?

A. ありません。

 

 委任契約の解除について定める民法651条には、解除事由について、何も書かれていません。これは、委任契約の解除事由には制限がないということを意味しています。

 弁護士の仕事が遅い、きちんと報告をしないといった、弁護士に問題のあるケースのみならず、何となく弁護士と馬が合わない、やっぱりあっちの弁護士に頼みたい、といった理由であっても、いつでも解約できます。

 ただし、不合理な理由による一方的解約の場合には、相手方に対する損害賠償が必要になる場合があります(民法651条2項参照)。

Q. まだ事件が途中なのに、弁護士側から解除を言い出すことはありますか?

A. まれにあります。

 

 民法651条1項によれば、委任契約の解除は、「各当事者が」「いつでも」解除できることになっています。 この条文に従えば、弁護士側からでも、いつでも、委任契約を解除(代理人を辞任)できるはずです。

 しかし、弁護士には、弁護士としての職業倫理があります。そのため、通常は、依頼者の顔が気に食わない、といったような不合理な理由で、弁護士側から解除を言い出すことはないはずです。

 しかし、依頼者が費用を支払わない、依頼した資料を持ってきてくれない、頻繁に約束をすっぽかす、何度お願いしても状況が改善されない、といったような特殊な事情がある場合には、依頼者と弁護士との間の信頼関係が失われたとして、事件の途中であっても、弁護士側から辞任を申し出ることがあります。

 多くは、民法651条2項ただし書きにいう、「やむを得ない事由があったとき」です。

Q. 実際に解約が行われた場合、費用の清算はどうなりますか?

A. この場合の取り扱いは、事務所によって異なります。

 

 事件の進行の程度に応じて清算を行う事務所が多数だとは思いますが、中には、成功報酬であるはずの部分についてまで、全額依頼者に請求する事務所もあります。

 そのためもあって、弁護士会の定める「弁護士の報酬に関する規程」5条4項には、委任契約書には、「委任契約が中途で終了した場合の清算方法を記載しなければならない。」との規定が設けられています。委任契約書を取り交わす前に、委任契約書の該当条項をご確認ください。

 この部分に、こっそりと、弁護士にとって著しく有利(依頼者にとって著しく不利)なことが書かれている場合には、そうした事務所は、そうした事務所だということです。

Q. 知多総合法律事務所の場合はどうなっていますか?

A. 当事務所の規定は以下のとおりです。

 

 本件委任契約に基づく本件事件の処理が、委任契約の解除又は継続不能により中途で終了したときは、甲(依頼者)及び乙(弁護士)は、乙(弁護士)の当該処理の程度に応じて清算を行う。ただし、本委任契約が正当な理由に基づかない甲(依頼者)の一方的解除により終了したときは、甲(依頼者)は、乙(弁護士)に対し、報酬を除く第2条記載の各費目(=着手金又は手数料)につき、その全額の支払義務を負う。

 一読しただけではわかりにくいかもしれませんが、つまりは、基本的に、事件処理の程度に応じて清算を行うということです。

 着手金についても、「契約しただけで、まだ依頼者は着手金も支払っていないし、弁護士もまだ事件処理に着手していない」という段階での解除の場合には、弁護士が、契約書を盾に、依頼者に着手金の支払いを強制するようなことはいたしません。また、「契約して着手金は支払ったが、弁護士はまだ事件処理に着手していない」という段階での解除の場合には、着手金はご返却いたします。

 ただし、例外があります。上記条項のただし書きの部分です。

 正当な理由にも基づかない依頼者からの一方的解除の場合には、仮に弁護士がまだ事件処理に着手していない場合であっても、着手金(または手数料)のお支払いが必要となる場合がありますので、ご注意ください。

 

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