「症状固定」とは、「医学上一般に承認された治療法をもってしても、その効果が期待し得ない状態であることを前提に、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態」(「損害賠償額算定基準」2013年下巻11頁)のことを言います。
医学上の概念ではなく、交通事故の損害賠償実務で用いられている法律的な概念です。
このため、症状固定「時」がいつなのかが争われた場合には、最終的には、裁判所が判断を下します。
しかし、裁判所は、通常、主治医の判断を尊重して判断を下すため、主治医の見解に著しく不合理な点がなければ、
主治医の判断が、そのまま裁判所の判断として採用されることが多くなっています。
「症状固定」は、「治癒(完治)」ではないので、症状固定と判断されても、未治癒の症状が残っていることがあります。
そのような場合は、残存症状につき、「後遺障害」の等級認定を受けます。
後遺障害についてはこちらのページをご覧下さい。
症状固定
症状固定前に保険会社から治療費の打ち切りの話をされたら
交通事故の治療を続けているうちに、「3か月も治療を受けたなら症状固定しているはずなので、来月から治療費の支払いを打ち切ります」などと、保険会社から治療費の打ち切りの連絡を受けることがあります。
しかし、症状固定の判断は、主治医又は裁判所が行うものであり、保険会社が行うものではありません。
打ち切りの打診や、通告を受けた場合の対応としては、
1.保険会社と打ち切り撤回の交渉を行う
2.打ち切り後、一旦は自己負担で通院し、後日、加害者側に請求する
など、複数の対応策があります。
打ち切りの打診又は通告を受けた場合には、その時点で、早急に弁護士とご相談されることをお勧めします。
「後遺障害」が残ったら
事故発生から症状固定時までに請求できる費目としては、治療費、通院交通費、休業損害、傷害慰謝料などがあります。
症状固定後に「後遺障害」が残った場合は、加えて、「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」などが請求できます。