column コラム

被追突事故で、あえて自分の車両保険を使った事例(無過失事故特約)

2022/05/20

事故類型

1 四輪車vs四輪車
2 追突
3 物損、人損
4 車両保険、無過失事故特約


事案概要

公道上での、依頼者(30代、女性)無過失の被追突事故です。

依頼者の怪我は、入院するほどの怪我で、車両の修理費見積額は、約50万円でした。

しかし、加害者側保険会社の物損担当者が、「車両の時価額は、30万円なので、物損については、30万円しか支払えない。」と言ってきたことから、弁護士対応案件となりました。


解決方法

念のため、依頼者側の保険の加入状況を確認してみたところ、幸い、依頼者は、車両保険に加入していました。しかも、同保険には、無過失事故特約、車両価額協定保険特約、全損時諸費用特約が、自動附帯していました。

無過失事故特約が有れば、無過失事故で車両保険を使っても、等級は下がらず、保険料も上がりません。全損時諸費用特約も有れば、経済的全損を含む全損時には、諸費用額名目で、追加保険金の支給もあります。

「保険金>賠償額」かつ「保険利用による保険料の値上がりがない」場合には、加害者側から賠償を受ける前に、あえて自分の保険を使った方が、手取り額が、多くなります。そこで、車両保険の利用を検討しました。


結果

依頼者加入の車両保険会社に事前確認の上、依頼者に車両保険(上記各特約含む)を使ってもらったところ、めでたく、速やかに、等級ダウンなしで、修理費見積額に近い金額の車両保険金が支払われることになりました。これにより、物損については、実質1日で紛争が解決しました。(人損の解決には、その後、数か月がかかりました。)

なお、車両保険金を支払った依頼者加入の保険会社は、後日、加害者側に対し、本来加害者側が被害者に支払うべきであった損害賠償額のうちの、相応部分について、(被害者に対する支払いに代えての)同社に対する支払い請求(「保険代位」制度に基づく「請求権代位」という特殊な請求)を行います。「支払った車両保険金額-保険代位により回収できた金額」は、同社の負担になりますが、同社は、車両保険の保険料を、この負担をカバーできる額に設定しているので、損をしている訳ではありません。


弁護士より一言

無過失事故の場合は、費用は加害者が支払うのが当然と考え、自分の加入保険を使うという発想は、起きにくいものです。しかし、附帯されている特約の種類によっては、無過失事故でも、あえて、自分の車両保険を使う方が、有利になることがあります。

最近は、車両保険に、「無過失事故特約」等の各種特約が、自動附帯されていることがあります。一度、「特約」についても、着目してみて下さい。

 

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