column コラム

検察審査会への申立てにより、再捜査が行われ、被疑者が起訴された事例

2024/07/02

事故類型

1 四輪車vs四輪車
2 直進車vs右折車
3 人損、物損
4 検察審査会


事案概要

右折矢印信号の出る信号機のある交差点で、交差点右折車両の左側側面後部に直進車の車両前部が衝突した側面衝突事故です。
右折車は横倒しになり、同車の運転者(被害者)はケガをして、病院に搬送されました。
直進車の運転者(加害者・被疑者)には、ケガはなく、同人は現場に残り、警察に事故態様を説明しました。
その結果、同人の説明どおりの内容の実況見分調書が作成され、同人は、不起訴となりました。
同調書では、直進車は、1番左側の車線を普通に走っていただけで、速度違反も何も違反は無かったことになっていました。
しかし、実際の事故態様は、同車は、制限速度を30km/h上回る速度で高速走行をしており、交差点に接近する直前には、内側からの追越し(左側車線からの追い抜き+右側車線への車線変更)をしており、さらには、信号が赤に変わるのとほぼ同時のタイミングで交差点に進入していました。


解決方法

検察官の行った不起訴処分に納得できない場合には、検察審査会という機関(審査会)に申立てを行うことができます(検察審査会法30条)。
検察審査会では、市民(11人の検察審査員)が、不起訴処分が正しい処分だったのか、処分の当否の審査を行います。
そこで、ドライブレコーダー映像等の資料を添附して、検察審査会に申立てを行いました(同法31条、同法施行令18条)。


結果

同審査会への申立てを行ったところ、検察官は、速やかに再捜査を行い、被疑者を起訴しました。
検察審査会の審査結果が出る前に、検察官が被疑者を起訴したため、その後、検察審査会の議決としては、以下のようになりました。

議決の趣旨 本件の審査を打ち切る。
議決の理由 本件については、令和〇年〇月〇日〇〇〇〇裁判所に公訴が提起されたので、上記趣旨のとおり議決する。

その後、民事訴訟を提起し、事故の過失割合としては、9:1(直進車の過失9割)で事件が解決しました。


弁護士より一言

警察が作成する実況見分調書の内容は、被害者が病院に搬送され、加害者のみが現場に残されていた場合には、相当おかしな内容になっていることがあります。
このような場合には、加害者(被疑者)が不起訴になっているときには、検察審査会への申立てが、一つの手です。

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